真空フランジの種類と選び方(ISO・KF・CFの違い)

真空配管を構築する際、最も重要な要素のひとつが 「どのフランジ規格を選ぶか」 です。
真空フランジには ISO、KF、CF など複数の規格が存在し、サイズ・材質・シール方式・到達真空度が異なります。
しかし、実務では以下のような悩みが多く見られます。
- ISOとKFの違いが曖昧
- CFフランジが必要なケースが分からない
- Oリングとメタルガスケットの使い分けが難しい
- SUS304とSUS316の選定基準が不明
- 調達時に規格違いのミスが起きやすい
真空配管は、誤った規格を選ぶと リーク・ガス放出・真空度不足・寿命低下 などの問題が発生し、装置全体の性能に影響します。
本記事では、真空フランジの主要規格である ISO・KF・CF の違いを、用途・構造・材質・シール方式・選定基準・調達時の注意点 の観点から徹底解説します。
真空フランジの3大規格の全体像
真空配管で最も使用される規格は以下の3つです。

| 規格 | 主な用途 | 到達真空度 | シール方式 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| KF(NW) | 小口径・研究用途 | 10⁻⁶ Pa台 | Oリング | 着脱が簡単、軽量 |
| ISO(ISO-K/ISO-F) | 中口径・産業用途 | 10⁻⁶ Pa台 | Oリング | 大口径に対応、強度が高い |
| CF(ConFlat) | 超高真空(UHV) | 10⁻¹⁰ Pa台 | メタルガスケット | 超高真空に最適、漏れに強い |
この3規格を理解することで、ほとんどの真空配管の選定が可能になります。
KFフランジ(NW)の特徴と用途
KFの構造
KFフランジは、以下の3点セットで構成されます。
- フランジ本体
- センターリング(Oリング付き)
- クランプ
クランプで締め付けるだけの簡易構造で、工具不要で着脱できます。
KFのメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 工具不要で着脱が非常に簡単 軽量で扱いやすい 小口径(NW16〜NW50)に最適 Oリング交換が容易 研究用途・分析装置で広く使用 | Oリングのガス放出がある 超高真空には不向き 高温ベーキングができない(150℃程度が限界) Oリング材質によって耐薬品性が変わる |
- 分析装置(GC/MS、SEMなど)
- 研究室の真空ライン
- 小型ポンプ接続
- 頻繁に着脱する配管
- 試験装置・実験用途
ISOフランジ(ISO-K / ISO-F)の特徴と用途
ISOの構造
ISOフランジは中〜大口径に対応し、以下の2種類があります。
- ISO-K(クランプ式)
- ISO-F(ボルト固定式)
どちらもOリングシールを採用し、気密性が高く産業用途で広く使用されます。
ISOのメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 大口径でも気密性が高い 強度が高く産業用途に最適 Oリング交換が容易 真空装置の標準規格として普及 半導体製造装置で最も使用される規格 | KFより重く、取り回しが難しい 超高真空には不向き Oリングの劣化に注意 ボルト締めの場合、作業時間がかかる |
- 半導体製造装置
- 真空チャンバー
- 大口径の排気ライン
- 産業用真空配管
- プロセス装置のメインライン
CFフランジ(ConFlat)の特徴と用途
CFの構造
CFフランジは、以下の特徴を持ちます。
- メタルガスケット(銅)を使用
- SUS製フランジでガスケットを挟み込み、ボルトで強固に締め付ける
- 超高真空(UHV)に対応
- 高温ベーキングが可能(200〜400℃)
CFのメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 到達真空度が非常に高い(10⁻¹⁰ Pa台) ガス放出が極めて少ない 高温ベーキングが可能 長期安定性が高い 漏れに強い | 着脱に時間がかかる ガスケットは使い捨て コストが高い 重量がある ボルト本数が多く作業負荷が大きい |
- 超高真空(UHV)装置
- 表面分析装置(XPS、AES)
- イオンポンプ接続
- 高温ベーキングが必要な工程
- 研究開発用途の高真空ライン
真空フランジの選定基準(ISO/KF/CFの使い分け)
- 10⁻⁶ Pa台まで → KF / ISO
- 10⁻⁸〜10⁻¹⁰ Pa台 → CF
真空度が高いほど、Oリングではなくメタルガスケットが必要になります。
- 小口径(NW16〜50) → KF
- 中口径(63A〜200A) → ISO
- 超高真空・特殊用途 → CF
- Oリング(着脱が多い場合) → KF / ISO
- メタルガスケット(超高真空) → CF
- SUS304:一般用途
- SUS316:耐食性が必要な薬液工程
- 銅ガスケット:CF専用
- KF:安価・短納期
- ISO:中価格
- CF:高価格・長納期(特にガスケット)
調達時に起きやすいミスと注意点
例:
- NW40(KF)
- ISO63(ISO)
数字が似ているため、調達ミスが非常に多いポイントです。
Oリング材質によって耐薬品性が大きく異なります。
- NBR:一般用途
- EPDM:耐薬品性
- Viton(FKM):真空用途で一般的
- FFKM:超耐薬品、高価
- OFHC銅
- 銀メッキ
- アルミガスケット(特殊用途)
用途に応じて選定が必要です。
真空用途では、以下が一般的です。
- Ra0.8以下
- シール面はRa0.4以下
粗さが悪いとリークの原因になります。
まとめ
真空フランジは、ISO・KF・CF の3規格を理解することで、用途に応じた最適な配管設計が可能になります。
- KF:小口径・着脱が多い・研究用途
- ISO:中口径・産業用途・真空装置の標準
- CF:超高真空・高温ベーキング・分析装置
選定のポイントは、
「真空度」「口径」「シール方式」「材質」「コスト」 の5つです。
真空フランジの選定や、ISO/KF/CFの使い分けでお困りの場合は、ケンテックが用途に合わせた最適な構成をご提案します。
- 材質選定
- Oリング材質の提案
- 表面粗さの最適化
- 図面レビュー
- 納期短縮の相談
など、お気軽にお問い合わせください。
